1st Album " Music Needs The People " セルフレビュー
1. Ride On The Groove
〇 実は浅川のソロアルバム「Lifetime」でもオープニングを飾る曲だったりします。なので当初、収録する予定ではなかったのですがFamily Soulのライブの定番曲になっていたため、「まぁFamily Soulバージョンも入れようじゃないか」ということで収録。
というわけで、ほとんどのメンバーには慣れた曲ではあったのですが、加入したばかりのサックス・Yukkyはまだそこまでアレンジが固まってなかったので、レコーディングしながら、2人で話し合いながらあーでもない、こーでもない言いながら作り上げました。エンディングのフレーズはまるでずっとこうであったかのようにハマっていて、今やこのフレーズがないとこの曲、終わらないんじゃないかと思うほどです(笑)。
基本的なアレンジは自分が行い、そのデモ音源を渡してリハーサルをし、あまりに「あれ?」という時は口を出しますが(まぁでもほとんど無い)音選びやフレーズはそれぞれのパートにお任せしています。
リハーサルやライブを重ねるたび、それぞれの解釈で徐々に変わってきました。そういう意味ではファミリーソウルの粋がつまった1曲と呼べるかもしれません。
〈浅川〉
〇 どうしようかなーと悩んでたら、浅川のアドバイスで低音から高音に向かうアレンジでGO!となりました。浅川のセンスに頼りっぱなしなエンディングです。<Yukky>
2.Do The Work!
〇 James BrownとPrinceに敬意を払った…と言えば聞こえはいいですが、パク….いや、オマージュした曲です。
ホーンセクションはキーボードとサックスによるものです。「シンセブラス」と呼ばれるキーボードのブラスの音って、良くも悪くもどうしても「シンセ感」が出てしまうのですが、生のサックスの音と混ざると「マジブラスセクション感」が出てるんじゃないかなと思っています。
途中のソロ明けのコーラスの「I do the work〜!」という箇所はサブリーダー小瀬が下北沢440ライブの当日に行きの電車の中で思いついて、ほぼぶっつけでやったものの、どハマりしたという逸話もあります。
中間部の効果音は「毎日仕事に追われてる感じ」をイメージして色んな音をツギハギしました。
それぞれの「Do The Work!」という声はメンバーによるものです。〈浅川〉
3. Heavenly Kiss(baby,it's mine)
〇 自分の曲の中で1番多く歌ってきた曲ではあるんですが、いざレコーディングするとなると、少しのニュアンスの違いが気になったりして手間取りました。
実はこのミックスダウン(音をまとめる作業)、メンバーに聴かせるために、とりあえず仮にやったものが採用されています。
その後、本番用に何度かミックスし直したんですが、どうもこのバージョンを超える事が出来なかったので、きっとこれが最高なんだろう…という結論に勝手に至り、みなさんのお耳に届いている次第です。
〈浅川〉
4. Motion
エモーションズの"Best of my love"やマライヤ・キャリーの"Emotion"をイメージしていた事もあり、長らく仮歌では「エモーショーン〜♪」と歌っていましたが、いくらなんでもそのまま過ぎるだろ!という事で「Motion」で歌詞を書き始めました。当時、ちょうど岡村靖幸をよく聴いていたせいで内容がなんとなく下寄りになってしまいましたけどね…。
脇坂さんは「娘に聴かせたくない曲」と言っていましたが、以前、高層ビルでキスしてるカップルをたまたま目撃した時にこの曲を口ずさんだとか。
それはそうとこの曲のSue隊長のベースはこのアルバムのハイライトの一つと言っても過言ではないでしょう。
5. One Day In The Family Soul
〇 締め切りの前日、渋谷さんと音源の仕上げ作業をしている時に「Motion」から「Shake Your Soul」の流れがあまりに唐突すぎない?という事で悩んでいたところ、以前ドラムのレコーディングの際、テスト的に録音した音源を使って渋谷さんが仮でトラックを作っていた事を思い出し、アレが使えないだろうかと提案しました。
消さずに残しておいた渋谷さんに拍手。
さらに何となく撮っていた2016年の新年会の映像から音声を抽出し、それを渋谷さんが編集しました。ワンマンライブのオープニングにも使用しました。
6. Shake Your Soul
〇 小瀬&大澤ペアに歌ってもらうべく書き下ろしました。いざ2人に合った曲となると難しくて、タイプの違う曲を3曲提示したところ、大澤さんがいち早く「Shake Your Soulがいい!」と言ったことで採用となりました。
実は自分の中では「これは合わないって言われるだろうな…」と思いながらも聴かせた曲だったので、意外な気もしたのですが、2人のパワフルなボーカルのおかげで今やライブの定番曲。盛り上げられる一曲にまで成長しました。<浅川>
〇 掛け合いのところ、ライブでは弾いた事のないライトハンド奏法を入れたら、なぜか採用されてた…。<Sue 隊長>
7. Music(Needs The People)
〇 ミックスダウンは渋谷さんの手によるものですが、初めて聴いた時は化学反応が起こったとでも言いましょうか、良い意味で渋谷さんっぽいミックスにニヤけたのと同時に、こんなにも曲が変わるのか!と非常に感動したのを覚えております。
自分はこの曲を70年代のディスコソング的な解釈でいたのですが、ここにテクノっぽいフレーバーが加わり、どこか80年代のディスコを感じさせる仕上りになったのではないかと思います。
後半のサビのリフレインに絡む徹平さんのギターにはいつ聴いても興奮させられます。<浅川>
8. Song For Love
〇 今回のアルバムの中で1番ポップな曲と言っていいんじゃないでしょうか?
後半のアカペラ部分は、リハーサル終わりにスタジオにてメンバー全員で合唱したものを収録しております。この時は特にみんな何も考えずに歌っていたと思いますが(笑)、こうして聴いてみると何故か何となく感動してしまうモノがあるような。気のせいかな?
また、この曲は非常に締め切りに追われている中でのミックスでした…が、どうしても手拍子が欲しくなり、私が妻を駆り出し自宅で2人で叩いた手拍子が採用されています(笑)。<浅川>
アルバムの総評
〇 2016年12月。録音当日は酷い腰痛で極めてブルーな気分で臨んだ。
場所は当時の自宅至近のスタジオ。録音ブースなんてものは無い。
与えられた時間は準備撤収含め8時間。さながら浅川と対峙する形で作業は始まった。
いくらテイクを重ねても、ジャッジするのはプロデューサーである浅川である。
そうだ自分じゃない。人間、逃げ道が必要なときもある。今は終わらせることの方が正義だ。
録ったモノを確かめる。ところどころやっちまってる。
でも、今の時代は※クォンタイズと称する魔法の杖が無かったことにしてくれるらしい。
そんなヨコシマな気持ちは確実にあった。無知とは恐ろしいものだ。
そしてあの事故。
ヨコシマだろうがタテジマだろうが、あのときに終わらせてつくづく良かった。
もはや私ができることは無かったが、曲折を経てこのアルバムの産声が上がった。
結果的に魔法の杖(クォンタイズ)は振られなかった。
お陰で私的のツッコミどころ満載にはなったが、時が経つにつれなんだかそれはそれで良くなってきた。
一生聴き続けても尽きない音楽が簡単に手のひらにある時代で、いろんな音源と聞き比べてふと想う。
全然悪くないじゃないかこのアルバム‼︎ <脇坂>
※ 録音した音のズレを正確なリズムに機械的に補正する機能
〇 録音開始は2015年。実に3年の時を経てリリースしたアルバムではありますが、ずっと制作していたワケではなく、ただ頓挫していてこんなに時間がかかったワケです。
CD発売記念ライブが決まった時には、約7割程度録り終わっていたのですが、まだ録り終えてないメンバーがレコーディングに苦戦。
同時進行でアルバムのミックス作業やジャケット制作に加え、ライブのプロモーションで個人的に多忙を極め、時間はどんどん無くなっていきました。
そういう事もあり、正直申し上げますとリリースした時、100%自信を持ってこのアルバムをお届けしていたわけではありません。未だに録り直したい所はたくさんありますし、ミックスをやり直したい所もたくさんある。
「もう少し色々と直したいけどもう時間がない!」という事でオッケーを出したところもあります。
かの山下達郎大先生はインタビューでこんなような事を言っていた。
「今まで出した作品の中で「これでいい」と思って終えたものなんて一つもないですよ。「もうここで終わりにしないとリリースできません」と言われたから止めるだけで。」と。
「これでいい」のレベルが桁外れに違う山下さんと比べるなんて、おこがましいにも程がありますが、
その気持ちがほんの少しだけ分かった気がします。
完璧だから良いわけではないし、時間があって録り直した所で、きっと満足できないだろうし、自分がダメだと思っている部分も、他の人からしたら良い部分かもしれないし、結局は聴いてくれる皆さんがどう思うか…という所なんですよね。
ネガティブな事を書き連ねましたが、もちろんこの作品が嫌いなワケではありません。
メンバー全員が一丸となって取り組んだこの作品がむしろ大好きです。
ずっと音源化したかった曲たちが、CDとなって皆さんの耳に届いてくれて本当に嬉しいです。
ただ次回作はもっと良いです。それがリリースされるまでは、このCDを飽きるほど聴いてくださいね!<浅川>